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必見! オンボーディングという言葉が増えてきた理由とオンボーディングの闇

最近、サブスクリプションモデルという言葉とともに「オンボーディング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
オンプレミスからクラウドへアプリケーションの提供方法が徐々に進みだした2007年頃には、「導入定着サービス」という言葉を用いていたりしていましたが「オンボーディング」という言葉はほとんど利用されていませんでした。
なぜこれほどまでにオンボーディングという言葉を耳にする機会が増えてきたのでしょうか。

そもそもオンボーディングとは?


元々は、組織に新たに加わった人に施す教育・訓練プログラムで用いられる言葉です。
新規採用した人材の受け入れから定着、戦力化までの一連の流れを指しています。組織の文化やルール、仕事の進め方などにいち早くなじませ、パフォーマンスを引き出すための教育・訓練プログラムをオンボーディングといいます。


なぜIT業界でもオンボーディングという言葉を耳にする機会が多くなってきたのか

アプリケーションを利用するにあたっての教育・訓練プログラムをオンボーディングという言葉に置き換えています。
ソフトウェアの提供方法がクラウド比率の高まりにより、オンボーディングという言葉を耳にする機会が増えてきた理由を考えてみましょう。

クラウドは、利用者側からするとソフトウェアやサーバー機器類などを月額利用料を支払うことで、初期コストを抑えることができます。
逆にベンダー側にとっては、オンプレ時代にはソフトウェアやサーバー機器類などを一括で購入いただいていたのが、月額利用料として回収することになるので早期解約されてしまうとビジネスとして成立しなくなります。

ですので、利用者がずっと使い続けたいと思っていただくための取り組みがとても大切になります。

「早期解約の可能性を低くし、全体的なチャーンレート(※)を下げるため」にアプリケーションを利用するユーザーに対して教育・訓練するためのサービスを積極的にベンダーが取り組むようになりました。それが「オンボーディング」という言葉で頻繁に使われるようになったと考えられます。

オンボーディングの例


2007年以降、スマートフォンの台頭とともに主にBtoC向けのアプリケーションやSNSを中心としたアーンドメディアが盛んに利用されるようになってきました。
初めて利用するユーザーのためにわかり易く構成されたステップ(チュートリアルなど)を示すことで早期離脱を防いだり、飽きやすいユーザーにもう少し辛抱してもらうためにすべてのステップを先に提示して、現在行ってもらってるステップはどの段階であるのか一目でわかる工夫なども施しています。

利用できる段階まで到達したユーザーには、次にしていただくことがあります。
Twitterの例が有名ですが、新規ユーザーにTwitterの価値を早期理解してもらうために最低でも10人をフォローすることを指定してきます。それは、そうすることでTwitterを使い続ける可能性が高まるためオンボーディングの段階から誘導していき、ユーザーのTwitterに対する期待値コントロールをして早期離脱を防いでいるのです。

オンボーディングの闇とは?

以上のようにソフトウェアの提供方法がクラウドになっていくに従い「ベンダー側において、利用者の期待値コントロールの必要性が過去より高まったてきていると捉えることができます。

Twitterのような個人向けアプリケーションのオンボーディングの例と法人向けの業務アプリケーションのオンボーディングとではどのような違いがあるのでしょうか。

皆さんTwitterを利用さている方も多いと思いますが、使い始めたいと思われた動機を思い出してみてください。
人から強制的に使うように指示を受けられましたか?受けていませんよね。

ですが、業務アプリケーションの場合はどうでしょうか?強制的に利用するアプリケーションを指定されることが多いでしょう。

個人向けと法人向けのアプリケーションのオンボーディングする上での前提の違いは、利用者が能動的にそのアプリケーションを利用するかしないかということです。

また、アプリケーションを利用する上で、ユーザーエクスペリエンス(以下UX)が低いためにストレスを与えてしまい、積極的に利用されなくなったりするケースも考えられます。
この場合、個人向けアプリケーションよりも法人向けアプリケーションの方がUXを高めるための対応がしづらい傾向にあります。
業務アプリケーションにおいては、UXを高めるための改修を過去より利用されてるユーザーに新たな学習コストを発生させないため、二の足を踏んでしまうことがあります。新たな学習コストが発生するということは解約の可能性が高まることにつながるからです。

一方で、法人向けアプリケーションも利用されるのは、一個人です。その個人は、Twitterなどの個人向けアプリケーションを利用しているので目が肥えてきています。ですので、業務向けアプリケーションを個人で利用しているものと比較すると、ユーザービリティが低いように感じることが多くなってしまうのです。それはそれで利用者の不満を募っていくことになります。

終わりに

お客様の成功体験に繋がるオンボーディングは、多いにあるべきです。それによりベンダー側においても、早期解約のリスクに対する可能性を下げることも理にかなっています。
法人向けの業務アプリケーションは、既にそのアプリケーションを利用いただいているお客様に対して新たな学習コストの負担をかけさせないことが大切です。しかし、そのためのUX改善取り組み方が難しい、という闇を背負っているのも事実です。

秋山真咲
秋山真咲

「NEC情報サービス(株):現NECネクサソリューションズ(株)、ソフトブレーン(株)、Sansan(株)、シナジーマーケティング(株)を経て、Surpassの取締役副社長COO兼CTOとして就任。ASP事業の立ち上げの後、SFA/CRM分野においては15年以上の知見をもとに数々の企業の課題解決に貢献。 これまでの経験と知見をベースにSurpassの組織力向上と新規事業への参入を推進中。 メイド・イン・ジャパン・ソフトウェアコンソーシアム(MIJS)の理事やASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)委員も歴任。」

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